1.Tama スペシャルインタビュー

 

 

──Hysteric Blue解散後はどんな7年間でしたか?


Tama「私は解散前からScreaming Frogsの制作を開始していました。ヒスブルはいつの間にかポップでキャッチーというパブリック・イメージがついて、そこから外れてはいけないような空気もあった。Screaming Frogsだったら、そうではない音楽もできるんじゃないかって。テーマや目標を掲げず、その時その時、自分が思いついたものを自由に出す。形を決めないことがScreming Frogsの形でしたね。

 一方で精神的に考えることもありました。ヒスブルという大きなものがパン! と無くなって、Screaming Frogsのライヴができない時期もあったし。変な話、これから歌っていくのかどうかを考えなくはなかった。デビューが早かったこともあって、下積みとか何もせずに、人が敷いたレールを進んできて、いざ、自分で活動しようとしてもどうしていいかわからない。いろいろあって、まわりの目が怖かった時もある。停滞してる時期がとても長かったんです。それがイベントとかに出るようになってから、徐々に自信が出てきました。忘れてる人や嫌いだという人もたくさんいるとは思うけど、迎えてくれる人や喜んでくれる人がいる。歌ってもいいのかな。歌いたいな。そういう気持ちがどんどん強くなっていって。落ちるところまで落ちたことで、逆に吹っ切れた部分がありましたね」

 

 

──7年後の2010年、Screaming Frogsに楠瀬拓哉さんを誘った理由は?


Tama「単純にドラマーがいなかったからです。2009年に『鋼の錬金術師』のキャラクターソングの作詞を一緒にやって、拓ちゃんと久しぶりに会って、また身近になったので頼みました(笑)。サポートを一年、そこから正式メンバーに。相性なのかわからへんけど、自然に馴染む感じはすごいあった。“あれ?”とかじゃなくて“わかるわかる。こう行くよね”みたいな。私が歌って、拓ちゃんが叩けば、ひとつの場所へ向かっていく。長年一緒にやってたってこういうことなのかな。拓ちゃんは歌心のあるドラマーなんです。面白いんですよ。ライヴの写真を撮ってもらうと、拓ちゃんと私がずっと同じ顔してたりする(一同笑い)。知ってた? 私が“あーっ!!”って顔したら、拓ちゃんも“あーっ!!”ってなってる(笑)」

拓哉「はははは! 知らんかった(笑)」

 

 

──(笑)。Screaming Frogsのレコーディングでは?


Tama「それも違和感なく。しかも全体を見てくれるからすごくやりやすいですね。ドラムを叩くだけでなく、アレンジのアイデアを出してくれたりする。メロディのセンスはいい意味で全然変わらない。わかりやすくて懐かしくてちょっと歌謡曲っぽい。拓ちゃんならではやなと思いますね。Frogsにはなかった部分だったので、バンドの幅も広がって、ファンの人も喜んでくれました。私自身も許容量が大きくなって、意地を張らずに“いいものはいい”と言えるゆとりもできてきましたね」

 

 

──sabão(シャボン)を結成した理由を教えてください。

 

Tama「パチンコCR『セクシーフォール』のタイアップで、ヒスブルの「春~spring~」「なぜ…」を録り直すことになったんです。その時に拓ちゃんが“せっかくだから書き下ろしの新曲を作ろう”と提案して、それなら新しいユニット名も必要だと。本当に偶然のきっかけを頂いてsabão(シャボン)というユニットができました。新曲を作ると決定した時は“いいね、いいね!!”ってワクワクして。何だかんだ言って、私、歌を歌うことが好きなんですよ。そして、最初のきっかけが大きくなって、プロモーション・ビデオまで撮らせて頂いて。ビデオはすごい久しぶりでしたけど、正直やっぱり苦手ですね(笑)。昔からそうでした。でも撮影は楽しかったし、PVのアクセス数の多さにもびっくりしました!!」

 

 

──今、自分にとってsabãoはどんな存在ですか?

 

Tama「とても大事な存在になりました。曲を書いただけではなかなか人に伝わらないけど、「BIG VENUS」が発表されて、PVもたくさん見て頂けて、いろんな人に喜んでもらえた。本当にやって良かったですね。今後も新しい曲を書いたり、また別の展開もしていけたらいいなって思っています」

 

 

──拓哉さんはどんな存在?

 

Tama「えっ…えっ…?(笑)何やろ…やっぱ腐れ縁なのかな(一同爆笑)。高校一年、16歳の時からなんで、言うても人生の半分の付き合い。空いてる時間はあったけど、Screaming Frogsで叩いてもらった時も、久しぶりに拓ちゃんの曲を歌った時も“あぁ、やっぱ拓ちゃんやな”って。もともと二人が持ってるものがそうなのか、長年一緒にやってきたからなのか、とにかく二人の相性を実感することが多いんです。ま、腐れ縁です。ふふふ…こんな恥ずかしい質問はないです(笑)」

拓哉「横におるしな(笑)。あとで訂正のメール送らんといて」

Tama「あはははは! 今のは嘘やで。リップ・サービスやで(笑)」

 

 

 

○次回は楠瀬拓哉のインタビューをお届けします。

 

 

 

text by 柳村睦子